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2017年 09月 25日
「前にしまったところと場所が違うよ」と4歳の孫がクレヨン箱の中をのぞきながら聞いてきました。「クレヨンさんはね、夜中に遊んだりお話したり歌ったりするから、きっと帰る場所を忘れたのか、新しい場所に行きたくなったのでしょうね」と、靴の小人の童話を思い出して答えてから、しまった、私が使ったと言えばよかったと思ったのですが、やはり次々に、何して遊んだの、どんな声でお話をするのと質問攻めにあってしまいました。 「赤と白と仲良く遊んでいたらピンクになりました。黄色と緑が歌っていたら青が来てそばに並びました。えーっと・・・」後が続かなくなっていると、横で、孫がそれぞれの色を指さしながら、音階のような声を出しているのを見てはっとしました。クレヨンの色に声をつけているようなのです。 色は目で見、音は耳で聞きます。視覚と聴覚は別の神経によって伝わり、その結果として色が見え、音が聞こえ、大脳の視覚領と聴覚領は異なっています。ところが世の中には音を聞くと色が見えるという人がいます。年長者よりは年少者に多いと言います。この現象は色聴とよばれ、五感の感覚間の関連性である共感覚の一種です。孫がそうなのかどうか知りませんが、やれやれ、この年齢の情操教育も科学的な教育も心して取り組まなければと思ったものでした。 自分が歌うというよりも、他人の歌を聴くほうが多いのですが、最近、あるところで歌を楽しむようになりました。そこで、作曲家でもある伴奏者のピアノの音色が好きになり、だんだん感動体験が深まっています。楽譜に表れない強弱や4分の1秒ぐらいの遅れが私の感じるところと一致しているのです。色聴現象ほど明確ではありませんが、次第に、音色から色が様々な景色や概念として見えるようになってきました。夕焼けの心を狂わすような色彩に恐ろしくなり、オペラの歌曲が浮かんできたことはありましたが、顔の見えないところから聞こえてくるピアノの音色に恋をしたような感覚は初めです。 真っ赤なウソ、腹黒い人、黄色い声、暗い声、など、色はいろいろな概念の象徴として用いられるし、確かに色には音や感情や文化と結びつく側面があります。誰でも音や色との対応が漠然とではあっても感じられるものでしょう。それぞれの音楽が人に生じさせる感情があり、それぞれの色が人に生じさせる感情もあり、素敵ですね。 (野口京子) 【学科情報】 新宿駅から徒歩7分のキャンパスで、健康を維持・増進するための疾病予防や、色彩や化粧と関わる心理学について、基礎から応用まで体系的・実践的に学びます。 詳しく⇒ホームページ/Twitter 【受験生サイト】 ◆オープンキャンパス年間スケジュール ◆学校見学・入学相談
by kenkoshinri-bunka
| 2017-09-25 08:49
| コラム 野口京子
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